月額550円から?速度は?ドコモ「エコノミーMVNO」発表、最大の注意点が明らかに
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ドコモの発表が遅れるたびに期待が高まっていた「ドコモの小容量ブランド」騒動。
「ドコモのエコノミーMVNO」発表に当初はSNS上で喜ぶ声も飛び交ったが、しばらくするとドコモの報道発表資料を見た人たちからの驚く声をみかけるようになった。
「ドコモのエコノミーMVNO」には何が書かれていたのか、最大の注意点を記録する。
誰がための「エコノミーMVNO」。
ドコモのエコノミーMVNOは次のような5つの定義が掲げられている。
- 低廉で小容量の料金プランを提供
- マイページへのアクセスやサービス認証等にdアカウントをメインで使用
- dポイントクラブ加盟店となり、通信料、サービス利用に対してdポイントを付与
- 通信料金へのdポイントの充当が可能
次にドコモショップでの取り扱い範囲は次の通り。
- エコノミーMVNOの料金サービスの新規契約の受付(SIMカードの発行、開通を含む)
- ドコモスマートフォン等の端末販売
- ドコモショップで購入された端末の初期設定のサポート(APN設定やdアカウントの設定など)
- ドコモ販売チャネル購入端末の故障受付
その他の注意事項として次の項目も見逃せない。
料金サービスの提供主体がMVNOとなるため、ドコモからの移行の場合はMNPを利用した解約の手続きとなります。
そのため、ドコモの回線継続利用期間の引継ぎやドコモメールなどのキャリアフリー化していないサービスの継続利用、ファミリー割引などのドコモの割引サービスの適用はできません。
上記の通り、ドコモのエコノミーMVNOで提供するサービスは完全に別会社が提供となっている。
続いて、ドコモが公開した報道発表資料をみていただきたい。
ドコモの利用状況に応じて「ギガホ」や「ahamo」、そして「ドコモのエコノミーMVNO」を利用してもらう想定のようだ。
他社の「povo」や「LINEMO」と大きく異なるのはOCNモバイルONEをはじめとするドコモ回線を使っていたMVNO会社が提供主体というところだろう。
そこへ踏み込む前に「ahamo」との違いを見てみるとドコモの狙いが見えてきた。
ahamoとの違い、ドコモの狙い。
「ahamo」は割安な料金設定の代わりにドコモショップでは有償サポートだったが、「エコノミーMVNO」は他社が提供主体のサービスにもかかわらずドコモショップで無償サポートをするという。
これは小さなMVNO事業者からすればサポート業務の負担を減らせるメリットがあるかもしれない。(実際は家電量販店のようにスタッフを現地派遣になる可能性も・・・)
ドコモ側のメリットは何か。
報道発表資料に書かれている通り「大量の安い客を確保してドコモ会員の増加」に尽きるだろう。
「ahamo」契約層はドコモショップで言葉巧みに誤契約を誘っても事前にネットで料金比較している可能性があるため「ドコモショップに来てもらっては困る、時間の無駄」だ。しかし、「ドコモショップの安心感」や「エコノミーMVNOの安さ」を目当てに来る思考停止した客であれば「熱心さ」「接客の温かさ」「誤解を招きやすい料金表」で誤契約(上位プランやオプションの加入)を狙える。
それだけではない、もう1つドコモにとって美味しい話がある。
ドコモのエコノミーMVNO、最大の注意点。
先程の「ドコモのエコノミーMVNO契約にはドコモユーザーであってもMNPが必要」という項目を見た時に「おやっ?」と思うだろう。
そう、恐ろしいのはpovoやLINEMOのように親回線の直通を謳っておらず、最初の画像にも「提供主体はエコノミーMVNO」と書かれている。決定的なのは次の文章だ。
通信エリアはドコモのネットワークと同様ですが、通信速度はMVNOにより異なります。
つまり、ただのMVNO紹介サービスなのだ。
今後IIJmioなどもドコモショップで取り扱いを始めると思うが、ahamoをはじめとするpovoやLINEMOのような回線直結ではなく、大小様々なMVNO事業者が大手通信回線に繋いで再度ルーティングして提供する転貸回線をドコモが紹介するサービスとなる。
「これでは格安SIMの紹介サイトや比較サイトと変わらないじゃないか」と思うかもしれないが、ドコモショップでは「お客様にあったプラン」を熱心に紹介してくれるし「ドコモ会員に加入できる」という違いがある。
モバイル通信サービス利用者にとっても、ドコモショップで働く従業員にとっても大迷惑でしかないサービスとなってしまったが、「ドコモショップで取り扱っている格安SIM」とテレビや雑誌といった扇動メディアが盛り上げればピュアな人たちが契約に行くだろう。
ドコモのエコノミー、まとめ。
長いこと期待されたドコモのエコノミーMVNO、蓋を開ければドコモショップに情報弱者を集めてドコモ会員を増やすための「MVNO紹介サービス」だった。
そのため以下のことに注意しよう。
- ドコモの直回線ではないこと、MVNO回線の改善は期待できないこと。
- ドコモショップ契約時、サポートや解約・変更がオンラインで行えるか
- エコノミーMVNOはドコモ会員を増やすことが目的のサービスだと理解すること。
- dポイントなどドコモ会員サービスを使う予定があるのか。
- 格安SIM・MVNOの月額料金でdポイントが貯まるのか、それによって解約引き止めしたくならないか
楽天経済圏のようにドコモも経済圏の構築を狙っているように見えるが、通信サービスは同社の本業なので「小容量プラン=会員獲得ツール」としたのは過ちだと感じた。
小容量プラン本来の魅力でドコモ会員が増えないと意味がないだろう。
それにしてもニュースリリースにある「通信速度はMVNOにより異なります。」というパワーワードを見た時はゾワっとした。
MVNO各社から1人ずつドコモショップに呼び寄せると店内スタッフだらけになるので派遣はないとすると今後、ドコモショップ従業員は各MVNOサービスによる「圏外になった!」「圏内なのに繋がらない!」「回線が遅い!」「APN設定できない!」「MVNOプランが多すぎる!」というトラブル対応で苦悩することになりそうだ。
最初にエコノミーMVNOへ合意した2社は次のような取り扱い開始日となっている。
- フリービット株式会社:2021年12月予定
- NTTコミュニケーションズ株式会社:2021年10月21日
ドコモのエコノミーMVNOは今後も第2弾や第3弾とMVNO事業者と合意を重ねていきたいとあり、その度に月額300円など破格の見出しが踊る。それによりMVNO利用者が増えるのか、メジャーな存在になるのか注目したい。
Source:ドコモ報道発表資料