中国のKindleストア閉鎖へ、電子書籍の保存は違法か
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Amazon Kindle Kindleストア, 電子書籍
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米Amazon.comが2023年6月末に中国で電子書籍サービス「Kindleストア」を閉鎖することを中国SNS「微信」の公式アカウントで明らかにした。
これに伴いKindle端末の出荷停止、電子書籍の配信停止、再ダウンロードの終了、Kindleアプリの削除などを順次行うという。
この発表を受けて日米のKindleストア利用者から購入した電子書籍が将来読めなくなる可能性を心配する声が挙がっている。
中国のKindleストア閉鎖へ。
今回のAmazonによるKindleサービス撤退については公式アカウントが中国政府の圧力などは否定、あくまでも経営戦略を理由に挙げている。
中国において、GAFAで通常の商売ができているのはAppleだけではないかという声もあるほど、コピーできないハードウェアとエコシステムの強さが浮き彫りになったような話だ。
Amazon.comは2023年6月30日に中国Kindleストアを停止、それから1年間は購入した電子書籍のダウンロードは可能と案内、2024年にKindleアプリの配信を終了するとしている。
電子書籍のダウンロード可能期間を示していることから中国Amazonアカウントで購入した電子書籍は2024年6月30日で読めなくなる可能性が高い。
Kindle端末のサポートは継続されるほか、2023年1月以降に購入したユーザーには返金対応するという。
電子書籍の保存は違法か
Kindle本をPDFに変換して個人で保管したいというニーズはKindleストア開設とともに話題となっていた。
今回の中国Kindleストア閉鎖により、日本のAmazonアカウントで購入した電子書籍が利用できなくなる可能性を危惧する声が増えるかもしれない。
まず、Kindle本をPDFで保存することは簡単だ。
電子書籍サービスのコンテンツを個人が楽しむために複製するのは違法ではないという意見も多い。
しかし、Kindle本にかけられているDRM(デジタル著作権管理)を解除するとアマゾンと交わした規約違反となり、Amazonアカウントの停止になる可能性がある。
ここが最大のデメリットだろう。
PDF変換はアプリやオンラインサービスを使えば簡単に実現できるため、Fireタブレットから直接Kindle本をPDFに変換しているユーザーもいるようだが、アカウント停止のリスクが高いのでやめたほうが良い。
日本のKindleストアが閉鎖する可能性は低く、何より多くのユーザーは一度でも目を通してしまえば十分ということからもPDF化を求めるのは一部のユーザーとなる。
例えば、Unlimitedの読み放題状態で高額な技術書を次々とPDFに変換して確保したいといった特殊なニーズが想定できる。
ここまで来ると犯罪の気配さえ感じられるが、その肌感覚はAmazonや著者にとってPDF化を目論むユーザーが「どのように映っているのか」を知るきっかけになるかもしれない。
ちなみに紙の書籍を調べると和紙であれば1300年物も確認されているが、身近なパルプを原料とした洋紙は「中性紙」が多く100年前後は持つとも言われている。さらに新聞紙や雑誌などの長期保存する予定がない紙はパルプの中でも大量生産用の「酸性紙」が多いらしく、数十年でボロボロになるという。
紙よりも本人の寿命が先か、日本のKindleストア閉鎖が早いか。
とりあえず、数十年後に読み返したいと思える本を一冊でも見つけようかと思う。
Source:Bloomberg