唯一無二の液タブ「XPPen Artist 24」は買いか、iPad版クリスタとの違い・特徴
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「3Dモデリングに液晶ペンタブレットがあると便利」
そんな情報から調べ始めるとイラストレーター、アニメーター、漫画家の方々が液晶ペンタブレットを駆使してコンテンツを制作していた。
3Dプリンターの造形ラフ案を書くとき絵心のなさを思い知らされ、最近はCLIP STDUIO PAINT(クリスタ)でトレースや模写を行い、手感覚や目を養うなど脳の通電作業を繰り返していた。
このデジタルイラスト初心者にとってクリスタがサポートしている「iPad mini 6」は頼もしい存在だった。
実際に絵を描いていくと次のことが必要だと気付かされる。
- インプット能力(どこまで細部や関連性を汲み取れるか)
- トレース・模写・デッサンの重要性(経験値)
- 連想力(イメージ、課題の見つけ方など)
- アウトプット力(出力できる情報量、引き出し)
しかし、それ以上に重要なことがあった。
それが「クリエイティブ環境の構築」。
どのジャンルでも毎回ここに辿り着くが、残念なことに「習慣化」がテーマになると発熱やバッテリー、挙動といった面でSidecarの「iPad mini 6」は足枷となった。
また、シンプルライフを目指して採用したモバイルモニターの小さな画面が「制作」「クリエイティブ」を前にした途端、色褪せていく。
いま、何が必要なのか。
絵を描く習慣を身につけるならメインディスプレイを液晶ペンタブレットに替えるのが最短距離に思えた。
この記事ではクリスタが特別にサポートしているAndroid液タブ「Galaxy」や12インチiPad Proを断念した理由と中国メーカーの格安な液タブを選ぼうとしている理由を記録していく。
「XPPen Artist 24」は買いか
魅惑のGalaxy Tab S8 Ultraと12インチiPad Pro
はじめに検討した端末はAndroidタブレット。
クリスタがGalaxy端末へ最適化していることに加えて、タブレットのブログということでワコムの技術を採用しているというAndroid液タブ「Galaxy Tab S8 Ultra」(Samsungへ)を検討したが、さすがに約19万円は高すぎる。
次に12インチiPad Proも検討した。
第6世代からデジ絵に必須とも言われている”ホバー機能”をサポートしたという情報も見かけたが、こちらも172,800円(Appleの比較ページへ)と初心者には高すぎる。
12インチiPad Proの難点、デメリット
iPadは様々なアプリがあって便利だが、自分にとって次のような難点がある。
- 多機能すぎて他のアプリを使い出してしまう可能性あり(通知に反応したり)
- サブディスプレイとしては意外と使いにくい
- iPad向けアプリはデスクトップ向けアプリに比べて制限が多い(または設定が異なる)
- Sidecar自体の制限が多い
やはり「タブレット」なので拡張ディスプレイとしての「Sidecar」も一時表示なら何とか耐えられるものの、サブまたはメインの常用ディスプレイとしては使いにくい。
Keyboardmaestroで自動化してもOSアップデートで仕様が変更になり使用できなくなった経験からsidecarの利用頻度は減っている。
多くのユーザーが携帯性や視認性から16インチに辿りついていることからもタブレット端末の画面は小さく、ゼロから始める際にiPadでの兼用は難しそうだ。
現在地を確認するとイメージの具現化は楽しいが、重要なペン入力に対して二の足を踏んでしまうレベルだ。
やはり、今は環境(液晶ペンタブレット)の強制力を借りたい。
iPad版クリスタとMac版クリスタの違い
iPad版ではなくMac版のクリスタを使用したい理由は、アプリ側というよりも次のようなOS側の仕様によるものが多い。
- ファイル管理がわかりやすい
- 誤タップが少ない
- 左手デバイスを使用せずにキーボードショートカットが使用可能
iPadのファイル管理システムは視認性に乏しく、アプリによっては削除ファイルの復元ができなかったりすることもある。
また、液タブの多くがタッチ非対応のため、iPadのようなマルチタッチによる誤操作が少なく快適という声にも期待している。
そして、3つめのキーボードショートカット。
クリスタで支持されている左手デバイス「TABMATE」(Amazonへ)は作業効率の向上が評価されている一方、パーツが壊れやすいことも指摘されている。
その点、打ち慣れて位置を把握しているMacBookのキーボードにショートカットを割り当てられるのは便利だ。
クリスタが高く評価されている理由の1つに「ほぼ全ての項目に対してショートカットキーを割り当て可能」ということがあった。
アプリによっては開発会社が設定したショートカットしか使えなかったり、割り当てられる範囲が制限され、さらにはアップデートで変更といった話もあるためフル割り当ては「Mac版クリスタの最強機能」だと思う。
それを有効活用するには画面フレームに物理ボタンがない「XPPen Artist 24」のような液晶ペンタブレットが良いと思えた。
液晶ペンタブレットに求める機能
液晶ペンタブレットといえば作業時間を過ぎると「置物」になるというレビューを見かける。
それに加えてメイン機「M1 MacBook Air」は映像出力数が1画面のみという制限(Apple仕様表へ)があり、外部モニターとして認識される液晶ペンタブレット+モバイルモニターが構築できない。
過去にレビューしたHDMI変換アダプタを使えば強制的に出力できるが、発熱や非公式な方法なのでリスクが高い。
そうなると外部モニターとして使える液晶ペンタブレットが必要になる。
「液晶ペンタブレット」は色域の広い単体の外部モニターとしても使えるため、現在のモバイルモニターを液晶ペンタブレットへ切り替えることで「クリスタ(お絵描き集中用の)専用端末」かつ「ペン対応モニター」へと環境が変わる。
タッチパネル搭載で値段が高くなっている液晶モニターに比べて、筆圧検知8192段階なのにタッチ非対応ゆえに安い点も魅力だ。
液晶ペンタブレットのメーカーと選ぶ基準
いざ液晶ペンダブレットを注文しようと思ってもメーカー選びで悩まされた。
王道のワコムもあったが割高で、性能を求めれば更に値段はあがる。
そのため、タブレットと同じく今回も次の中国メーカーへ頼ることに。
- XPPen
- HUION
- GAOMON
- UGEE
YouTuberなどへ積極的にサンプル提供しているのはXPPenとHUIONという印象、それもあってかAmazonレビューの数も多い。
液タブのAmazonランキングでワコムを抑えて上位にランクインしているXPPenについて見てみたい。
XPPenは2005年に台湾メーカーが日本で立ち上げたペンタブレット専用ブランドで当初はピー・アクティブ株式会社が開発・サポートを行ないシェアはワコムに次ぐ2位となっていたようだが、現在は中国広州のHanvon Ugeeグループの子会社(Wikipediaへ)となっている。
次にHUION、アマゾン会社説明(Amazonへ)を見ると2011年に中国深圳で設立したペンタブレット専用ブランドでQLEDや業界初で2.5Kにアンチグレアを採用するといったイノベーションを強みとしているようだ。
ちなみに2014年にXPPenは特許侵害でHUIONに訴訟を起こし、UGEEはXPPenを買収して同社の技術とブランドを獲得するといった大きな変化があった。
なお、本家となるUGEEは中国を中心に展開しているブランドで、XPPenは日本向けブランド、そうなるとUGEE U1600(Amazonへ)は買いのようにも思えてくる。
しかし、UGEEグループの中でも日本向けキャンペーンに積極的なXPPEN(旧XP-Pen)製品がサポート・ユーザー数の多さからリスクが低そうだ。
画面サイズと解像度の話
液晶ペンタブレットの画面サイズは大きく分けて11.6インチ/13.3インチ/15.4〜15.8インチ/21.5〜22インチ/24インチ〜となっていた。
入門用としては13.3インチ以下が良いとされているが、少しでも使い慣れると16インチクラスへと買い替えを行い、携帯性やUSB-C1本で給電・動作できるという点からプロも含めて16インチ利用者が多いようだ。
商業誌や同人誌、3D CADなど印刷や全体を見渡すことに価値があるクリエイターに支持されているのが21.5インチ以上の大画面サイズ。
最近では格安モデルも登場しているが、レビューを見て回ったところ「22インチ以上からはフルHDだと粗が目立つ」という意見がチラホラ。
プロのイラストレーターも16インチ以下ではフルHDで問題ないという意見が何件もあり、大画面モデルを選ぶ際は2K以上を選んだほうが残念な思いを避けられそうだ。
また、フルラミネートの有無も重要だと思う。
ペン先と液晶パネルのポインタ位置、視差の大きさはストレスに直結するため、できる限りフルラミネート加工されたディスプレイを選びたい。
ちなみに記事タイトルの「XPPen Artist 24」はフルラミネートではないが、それ以外が唯一無二なので検討している。
ペン入力の話
ペン入力については2023年3月時点で筆圧検知はほとんどの製品が8192レベルとなっている。
「XPPen Artist 24」のペン情報(下図)を見ても筆圧感度8192レベル、傾き検知60度、バッテリー不要と初心者には十分すぎる性能に思えた。
ペンで注意するとしたら古くて安いモデルを選ばないこと。
ペンが充電式だったり、ペン先の沈み込みが激しかったり、替え芯の販売が終了してモニターは使えるのに・・・という状態は避けたい。
ここでも検討中の「XPPen Artist 24」は少し古いチップのペンを使っていて、ワコムユーザーからすると「少し沈む」「重く感じる」らしい。
ただ不満を挙げているのはワコムを使っていたとするユーザーが多いことから、メーカー間の初期値による違いという可能性もある。
いずれにしてもプロのイラストレーターが使用しているという「XPPen Artist 24」を信じて調整し、対応していくことになるだろう。
「XPPen Artist 24」が持つモノ。
「XPPen Artist 24」(型番:CD240Q)が唯一無二だと思うのは次の点を併せ持つこと。
- 大画面23.8インチ
- 2K解像度(WQHD / 2560×1440)
- 色域が広い(90% NTSC、94% Adobe RGB、127% sRGB)
- 安定した専用スタンド搭載
- VESAマウント搭載
- USB-C対応
- イヤホンジャックを搭載(普通のモニターとして使える!)
- 低価格:記事投稿時点で67830円(Amazonへ)
3つの条件を満たした唯一無二の液タブ
何といっても大画面23.8インチで2K解像度を持ち破格7万円以下という3つの条件を満たす製品が日本に存在しないことが挙げられる。
この時点で唯一無二だ。
さらに液晶ペンタブレットには珍しいイヤホンジャックを搭載していること。
これのおかげでメインディスプレイとして使用可能。
つまり「置物」にならない。
色域が広い
色域が一般的な液晶ペンタブレットのsRGB120%より広い127%となっている。
手持ちのM1 MacBook Airの色域はDCI-P3というデジタルシネマ向け規格でsRGBより25%ほど広く、Adobe RGBと同等とのこと。
それに近い色域のため、RAW現像や印刷する際にも「XPPen Artist 24」は活躍してくれそうだ。
スタンド問題
Surface ProやiPadからタッチパネル対応モニターまで共通する不満として「グラグラする」という状態がある。
3Dモデリングや線を引くペン入力では画面の揺れは致命的な欠点だろう。
ワコムやXPPenをはじめ多くの液晶ペンタブレットは本体と完全分離するスタンドを併用しているようで、製品によっては専用スタンドや他社スタンドが付属していることもある。
しかし、そのスタンドを使っても画面が揺れるため別途スタンドを購入するというユーザーもいた。
特に人気の16インチ前後の液晶ペンタブレットはVESA非対応が多く使いにくいというレビューが多い。
これは、ほぼ全てのメーカーで均等に投稿されていて結構な数になるだろう。
その点で言えば「XPPen Artist 24」は下図のように巨大な専用スタンドが付属、さらに本体が大きく重いため「安定」している。
ワコムで21.5インチ+スタンド付属という近い製品は「Wacom Cintiq 22」(Amazonへ)もあるが「大画面なのにフルHD」という問題を抱えている。
それが致命的でツールを小さく表示したいという理由から約半額の「XPPen Artist 24」へ乗り換えたというユーザーもいた。
もう1つの選択肢としてワコム縛りで同サイズの高解像度を求めると4K23.6型の上位モデル「Wacom Cintiq Pro 24」もあるが、30万円近く(Amazonへ)になってしまう。
そうなるとワコムよりサポート対応が良いという声があり、2K解像度で23.8インチで7万円未満の「XPPen Artist 24」は唯一無二と思えた。
「XPPen Artist 24」が持たないモノ。
そんな唯一無二の「XPPen Artist 24」だが懸念材料もある。
1つはフルラミネートではないためペン先の視差が発生しやすいこと。
もともと大画面の液晶ペンタブレットは画面端のポインタがズレやすいのは仕方がないようだが、それに加えてパネルを1枚にするフルラミネートではないため視差が大きくなるという。
しかし、わざわざ画面端で繊細なペン入力を行わないので不満の声は少ない印象。
次にXPPenのセカンドシリーズが発売されるかもしれないという点。
「XPPen Artist 24」は2021年モデルとして発売され、アマゾン販売履歴を調べると2023年3月14日時点で575日が経過している。
これは他の古い液晶ペンタブレットが1900日を超えていたりするため古いとはいえないが勢いあるXPPenがセカンドシリーズを次々と投入しているため数ヶ月後には「XPPen Artist 24セカンド」が発売されるかもしれない。
その際はペンが最新チップとなり、フルラミネート、プロたちが指摘していた赤っぽいという色味を初期値で再設定したモデルが期待できる。
だが、ここまで書いてきて これらは受け入れようと思った。
問題があるとしたら、、、そう、、本体サイズが「590 x 361 x 34mm」と大きくスタンディングデスクが幅50cmの細長い棚(下図)でゴム足がサイズオーバーしないか心配というくらい。
そう、それくらい。
やはり欲しい時が買い時だ。
まもなくAmazonでFashionX新生活タイムセール祭りで最大10%ポイント還元が開始(Amazon予告ページへ)されるので、あと3日ほど待てば少し安く購入できるが「時は金なり」、注文したいと思う。
続き→「XPPen Artist 24」購入レビュー、感想・開封編
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