ルーター1台で楽天モバイルとpovo2.0に同時接続、マルチWANの話。
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前回ファームウェア更新でテザリングが利用できなくなる不具合についてレビュー記事を書いたが、そうなるのも頷ける更新が行われていたことがわかった。
おそらくVer4.Xからだと思われるが、上位モデルに限られていた複数WAN(マルチWANやデュアルWANほか)がGL.iNet社の格安トラベルルーターまで対応していた。
つまり、楽天モバイルとmineoの1.5Mbpsを組み合わせてランチタイムや障害発生時でも通信を途切れさせない業務風の運用が可能となる。
もちろんデータセンターのロードバランサーを使ったシステムや専用線を使ったATMなどと比べれば簡易的だろう。
それでも、だ。
フェイルオーバーやロードバランサーといった高レベルのネットワーク構成を5,000円ほどで購入できる150g以下のトラベルルーターで実現できるのは凄い。
ーーーーっていう話を記録していく。
「GL-SFT1200」がマルチWAN対応という衝撃。
はじめに今回のマルチWANについて、当のGL.iNet社が公開している公式ドキュメントを見ると「デュアルイーサネットWAN」という名称で下記の海外モデル2機種だけ対応していると紹介(GL.iNetへ)されていた。
- GL-MT6000
- GL-XE3000
そう、今回のマルチWAN機能は上位モデル限定の機能だったというわけだ。
それが携帯性を重視しつつ5GHzに対応した「GL-SFT1200」でも使える!これはアツい!!
ここで重要なポイントは「GL-SFT1200」を含め同社のルーターは大抵「USB-Aポートが1つ」という点。
例えば私の環境で言えばPixel7aで楽天モバイルとpovo2.0を有効にしているが、USBテザリングでルーターに接続している間は「単純なモデムとして動作」するだけ。
Pixel7aでインターネット回線を冗長化できるルーター並みの機能を持っていれば可能だが、そもそもPixel7aのルーター機能がハードウェア面で頼りないからトラベルルーターを投入したわけであって、Pixel7aのソフトウェア上で冗長化してルーターへ引き継ぎが実現できたところで実用性に乏しいパフォーマンスになるだろう。
つまりトラベルルーターの端子に2つのモデムを物理的に接続する必要がある。
上図で言えばUSB-Aポートに「USBテザリング」(Pixel7a)接続を行い、LANポート1〜3の1つにAndroid OSの新機能「イーサネットテザリング」で接続。
もしくはUSB-C側にiPhoneでUSBテザリング、LAN側にAndroid端末というのもアリ。
イーサネットテザリングの重要性
この「イーサネットテザリング」に対応しているUSB-C to LAN(RJ45)変換アダプターとしてはGOPPA製アダプター(レビュー189件はAmazonへ)がある。
ご覧のように同アダプターはUSB-C入力端子から給電できるのも特徴。
ここに接続したLANケーブルを「GL-SFT1200」のLANポート1〜3の1つへ繋ぎ、ルーター管理画面→ネットワーク→マルチWANからモバイル回線を使ったマルチ接続を実現できる。
なんか、胸がアツい。
有名メーカーのベルキン製(Amazonへ)とサンワサプライ製(Amazonへ)からも発売されているが、充電などの基本性能は変わらず、微妙に高い。
また、ルーターと同じ白色で1500円前後の格安モデル(Amazonへ)もあったがAndroid OSのアップデートで使えなくなったという報告があるなど、不安が残るためGOPPA製が良さそうだ。
GOPPA製品は有名なアイ・オー・データ機器が国内サポートをしているので価格のバランスから考えても他の選択肢はなさそうだ。
フェイルオーバーとロードバランスとは
ルーター管理画面には「フェイルオーバー」と「ロードバランス」というモードが用意されている。
念の為に簡単な説明を添えておきたい。
フェイルオーバーとは「途切れない接続を実現する」という目的を掲げたモード。
具体的には、定期的にDNSサーバーへクエリ送信したり、任意のIPアドレスへPING送信をすることでネットワーク状態を確認し、障害発生時にプライマリWANからセカンダリWANへ移行しフェイルバックが有効なら復旧時にプライマリWANに戻るというのが一般的な機能。
次にロードバランス。
ロードバランシングとも呼ばれている機能で「負荷分散を実現する」モード。
具体的にはプライマリとセカンダリのWAN同士でデータ転送の負荷を分散、ゲーム機がプライマリWANへ接続して、スマートフォンやテレビがセカンダリWANへ繋げるといった設定が可能。
今回の「GL-SFT1200」などはVer4.Xで対応したことからソフトウェア上で再現している機能と思われる。
そのためデータセンターなどで動作しているロードバランサーなどの専用器に比べると速度や障害率は高くなってしまう。
それでも最近の仮想メモリ対応を謳う中華パッドと同じように物理メモリだけの時に比べるとメモリ不足でアプリが落ちなくなったという程度の恩恵は受けられる。
そう、仮想のマルチWANであってもゼロよりは遥かにいい。
マルチWANは使えるか。
最後に個人ユーザーがマルチWANを必要とするのか、について考えたい。
日常生活では楽天モバイルやドコモ、KDDIなど回線提供元の障害が発生しても気にせずインターネットを楽しめるところが魅力。
次に家族や複数人で住んでいて回線がシビアなオンラインゲームを誰にも邪魔されずに楽しみたい人にとっても嬉しい機能かもしれない。
またペットや防犯カメラ、赤ん坊や子ども・高齢者の見守りカメラなどIoT機器/スマートホーム/家電のネット回線だけはオフラインにしたくないというニーズも満たせそうだ。
他にはホテルと会社などでVPN接続する時も頼もしい存在になるだろう。
私の場合はPixel7aを持ち出してモバイルルーターとして使う際、マルチWANにしていれば自宅にあるトラベルルーター「GL-SFT1200」と常時接続できるというメリットがある。
それが高速回線同士ならデスクトップ画面の遠隔操作やファイルの送受信、プライベートのオンラインストレージとしても使える。
古いHDDや余ったSSDで簡易オンラインストレージにして、有料ストレージサービスを解約すれば追加回線分の料金くらいは回収できるかもしれない。
モバイル回線だけでスマートホームも実現し、バックアップ回線で帰宅直後から家電フル稼働というのも悪くない。
他にも考えれば限りなく使い道のアイデアは出てくる。
やはり、マルチWANは使えそうだ。
ーーーーというわけでGOPPA製「GP-CR45H/B」(Amazonへ)を注文した。
iPhone 12 mini+Pixel7aで3回線を分けていたので端末を1つ追加するのか、2端末でゴニョゴニョするのかは到着するまでに決めておきたい。
→今回レビューした「GL-SFT1200 (Opal)」のレビューや動画はAmazon販売ページへ