灯油・電気代の節約に、火鉢として薪ストーブ「OneTigris TIGER ROAR」を購入した話|コスト比較
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あまりの寒さに薪ストーブを導入した。
一般的に15万円以上する鋳物で造られた屋内向け薪ストーブなら高気密で一酸化炭素中毒のリスクを可能な限り抑えられるという。その一方、1〜3万円ほどで一式を揃えられる屋外向け・キャンプ向けは屋外もしくは換気しやすいテント内に限定されている。それでは、格安の屋外用は室内で使えないのだろうか。
キャンプ向けの薪ストーブは組み立て式であったり、持ち運びのために軽量化を目指して薄く少ない材料で造られていて気密性とは無縁、テント内でさえ危なく、室内に使うなんてもっての外と言われている。
それでも諦めきれずに調査を続けていると、屋外向けで古くから室内で使われ、そのハック情報も多いホンマ製作所の時計型ストーブ「AF-60」の存在を知る。なんでもロケットストーブ化してオガ備長炭を使うという。
しかし、薪ストーブに炭を使うなんて論外という声がある。
その理由は「薪」なら万が一のときでも勝手に火が消えるのに対して炭は燃え続けようと一酸化炭素を多く出すから。だが、実際に暖をとっている猛者もいる。その情報を足がかりに自分なりの調査を続けて、最終的に屋外用の薪ストーブ「OneTigris TIGER ROAR」を購入した。
何に使うのか?
それは火鉢としてオガ備長炭で暖をとりつつ湯を沸かし、調理するのに使う。すでに12月10日から21日まで毎日使っている。
マイナス19度にもなるという避暑地の冬に備え、石油ストーブや電気ストーブ(カーボン・シーズのハイブリット)に豆炭コタツ、電熱ウェア4製品を購入してきたが薪ストーブ+オガ備長炭はメイン火力(暖房+調理)となった。
なぜ「OneTigris TIGER ROAR」を選んだのか、実績あるホンマの薪ストーブ「AF-60」系統を選ばなかった理由なども触れていく。
「OneTigris TIGER ROAR」購入レビュー。
2024/12/09にRakuteスーパーSALEを利用して注文、ヤマト運輸にて2024/12/10午前中に届き、初日はキッチンで使用した。その後、12月21日までは6畳の和室で使っている。
私の場合は燃料が火鉢などで使われるオガ備長炭なのでメガネ石などを備えた断熱設備を壁に設ける必要はない。つまり「火鉢に煙突をつけたような状態」だ。それなら火鉢を買えば良いのではと思うかもしれないが、煙突が作り出す加熱力が重要で「オガ備長炭でも暖が取れて、調理可能を実現」している。
しかし、薪ストーブの外観を持っている以上、薪を炊くのが常識であるため違和感を覚える人が多く指摘されてしまうかもしれない。これができるのはオガ備長炭だけを使っているから。この炭は次のような特徴を持つ。
- 薪や備長炭のように爆ぜない(畳や服に穴が空かない)
- 薪やオガライトのように煤・タールが発生しない
- 薪のような高火力ではないため、煙突も手で触れられる温度。
- 薪よりも長時間の燃焼を続ける
- (デメリット)火がつきにくい
実際に薪ストーブを使った感想・実際の状況
◇初日はミニキッチン+換気扇に煙突を近づけただけ。
運用開始の初日は薪ストーブ初心者ということもあり、とりあえずミニキッチンで使用した。
燃料はオガ備長炭のみ、煙突は換気扇に近づけただけで外には出していない。火鉢や囲炉裏でオガ備長炭を使うなら室内の真ん中に置いて煙突なんてないはずだが、ここは強みを活かしていくことに。そうすると次のような結果となった。
- 煙突:ホットコーヒー缶の激アツ程度の熱をもつ
- 一酸化炭素:煙突を換気扇に近づけて電源ONで30ppm未満をキープ
- 燃焼時間:20cm前後x4本でも3時間は持つ
- 着火:かなり時間がかかる
上記のとおり一酸化炭素が発生してしまっている。燃焼効率の落ちた石油ストーブを使う程度の発生量のようだが、やはり2月まで毎日使うため0ppmを目指したい。
いくつもの反省点があって、薪ストーブの使い方や煙突の温め方、燃料追加のタイミング、オガ備長炭を入れる量(初日は入れ過ぎた)などを知る必要があった。
「せっかくなので煙突は外に出そう」ということで”メガネ石なし”で木枠とメッシュアルミとグラスウールを巻いた煙突を窓に設置して薪ストーブ風にした。
それから12月21日まで毎日使っている。もちろん、それに加えて(先に煙突を温めるなど)薪ストーブの着火方法、火の起こし方、燃料追加するタイミング、一酸化炭素を減らす方法などを学習していった。そうして12月21日時点では次のような状態になった。
- 煙突:温くなったコーヒー缶くらい。
- 一酸化炭素:基本0ppmを維持(焼き芋をすると芋の影響で3ppmくらいになる。)
- 燃焼時間:5時間ほど暖かい
- 着火:煙突効果もあって簡単に
窓につけた「メガネ石なしの木枠」では注意点がある。
まず木材は長時間60度くらいに晒されると発火するという点。これはオガ備長炭なので木枠に近づくころには20度以下まで冷めていて、そこへメッシュアルミとグラスウールで保護しているため問題はないだろう。だが、薪やオガライトなど高火力な燃料を追加したり、オガ備長炭を大量投入すると話は変わってくるので注意。あくまで「火鉢・囲炉裏」の範囲内で使っている。
私の使い方は「火鉢に煙突をつけた」だけだ。
「それでも火を使っている以上は!!」という場合は火鉢や囲炉裏を使っているユーザーと討論してきてほしい。薪ストーブはステンレスの鉄板で囲まれているため火鉢や囲炉裏よりも火の粉が飛び散る可能性が少ない。いやオガ備長炭なので火の粉なんてありえない。安全ではないだろうか。
見た目が薪ストーブなので注意される可能性があるのは残念。電気代や灯油代の高騰で”薪ストーブ+オガ備長炭が当たり前”になれば指摘するユーザーも減るはずだが、豆炭と同じでユーザー側が常に監視し、ある一定の学習をしないと火事に繋がるため普及は難しいかもしれない。
ただオガ備長炭+薪ストーブは東京の密集した住宅街でも使えると思う。なぜかといえば煤・タール、煙がでないから。煙突が外に出ていると指摘する近隣住民はいるかもしれないので、何かしら工夫は必要だろう。
薪ストーブなら何でも良いのか。
ここでは重要なことを書かせていただく。
他のキャンプ向け薪ストーブでは先ほどと同じ結果は期待できないことを申し上げたい。例によって気が狂いそうなほど事前調査を行なった末に薪ストーブ「OneTigris TIGER ROAR」を購入している。
火鉢代わりに使うという同じ用途ではホンマ製作所のAF-60という薪ストーブ(の派生を含む)が先駆者(パイオニア)だ。私の場合は風呂場をサウナ化したり、軽トラック(ハイゼットジャンボ)に積み込みたいので大きな時計型ストーブではなく「OneTigris TIGER ROAR」を選んだ。
では何故「OneTigris TIGER ROAR」を選んだのか、その理由を箇条書きにしたい。
- (重要)折りたたみ式ではなく、気密性が高い
- (重要)ステンレスの厚みが3mmと極厚
- 煙突セット充実、なんと格安AF-60+煙突の合計額と変わらない金額
- (重要)炭を使って暖をとったという報告が2件ほどあった
- なんといっても無骨な見た目がクール
- 薪ストーブの寿命を早める窓ガラスが最小サイズ
上記のとおり製品仕様から得たスペックの高さと数少ないレビューをもとに購入へと踏み切った。特に炭を使って暖をとったという情報は匿名、かつ写真もないため出鱈目という可能性さえあった内容だ。それでも製品仕様から嘘ではないかもしれないと思えた。
まずステンレスの厚みが3mmという点。ホンマ薪ストーブAF-60は鉄製で05.〜0.6mmと記されている。他のステンレス製の高額キャンプ向け薪ストーブ(10万円〜15万円)も軒並み0.8mm以下だった。その中で「OneTigris TIGER ROAR」だけ3mm厚。
この厚みは重要なようでAF-60などはワンシーズンからツーシーズンで買い替え「使い捨てストーブ」と表現するレビューも見かける。その理由は鉄で錆びやすいこと、鉄板が薄いのに高火力を出しやすい構造で穴が空きやすいことが挙げられた。もちろん丁寧に表面塗装を繰り返して10年も持たせているという話も存在する。
一方で「OneTigris TIGER ROAR」購入者によれば薪による高火力を出しても全く歪まなく、穴が開くような様子もないという。火力が弱く安定しているオガ備長炭なら末長く使えそうだ。
私は寒冷地なのに全ての給湯器を撤去している。そのため、サウナストーブ+水風呂として使いたい。そうなると「AF-60」の鉄製では困る。それと古くて狭い風呂場なので時計型は大きすぎるのだ。
とはいえ、「AF-60」は火鉢として薪ストーブを使うハックを知った製品ということもあり最後まで購入を検討した。具体的にはAF-60の内部に煙突を入れてロケットストーブ化するといったもので、これによりオガ備長炭を使って大広間を温めているといった下記の動画だ。
まさにスマートシステム、思わず唸ってしまう。
だが「OneTigris TIGER ROAR」にはロケットストーブや二次燃焼といったシステムはない。薪に比べて燃えにくいオガ備長炭で暖を取るための火力不足。さらに放熱するための大きな筐体もない。
ロケットストーブや二次燃焼機構のない「OneTigris TIGER ROAR」だが販売ページには高気密かつバッフルによる「未完全燃焼ガスの低減」とあった。これは匿名レビューにあった気密が高いからテント内でも暖房に炭を使えたという話に近い。
それでも不安があったので「ロケットストーブの原理」「二次燃焼の原理」について仕組みを調べたところ「OneTigris TIGER ROAR」の構造でも二次燃焼に近い効果が得られることがわかった。同社が製品ページで「二次燃焼」と謳わないのは気密性を優先して空気穴を最小限にしているためだろう。実直な姿勢で素晴らしいがセールスに貢献できない。とても難しいところだと思う。
次に小さな筐体による放熱の弱さだが、これは大広間ではなく和室6畳+ミニキッチン3畳+2畳の廊下=合計11畳という広さで、テントより気密があることから暖房として機能すると判断した。
それと「AF-60」は別途煙突を購入する必要がある。ホームセンターでもパーツ1つにつき1000〜1600円ほどするので本体価格が7980円だとしても最後には1.5万円程度になってしまう。
「OneTigris TIGER ROAR」は上にある写真のとおり、煙突がセットになっている。本体価格だけで済むというのも初心者には嬉しいポイントだった。
「OneTigris TIGER ROAR」を火鉢として使った感想(コスト比較)
12月21日まで毎日2回、朝と夜にわけて使っている。
オガ備長炭10kgを12月10日から21日までの間で消費した。価格は楽天ポイント還元を含めて実質1900円。11日間で割れば1日173円のコストとなる。
灯油18L缶だと地域にもよるが一般的に2週間ももてば良いようだ。寒冷地では常時ストーブを炊いている世帯が多いようで、そうなると灯油タンクに1ヶ月1回で月2.3万円前後となる。
最初は前オーナーが持っていた灯油タンクを満タンにしようとと思ったがホームセンターの灯油配送でも2.5万円がかかる。1ヶ月を30日換算で1日833円だ。その代わり朝から晩まで常夏気分になれる。だが無駄は嫌いだ。
- 薪ストーブ+オガ備長炭:1日173円(30日で5,190円)+豆炭コタツ(1ヶ月1150円)
- 灯油タンク+FFストーブ:1日833円(30日で25,000円)
1ヶ月の暖房代が6340円は安くないだろうか。朝方の室温はマイナス1度、日中は1〜2度という寒冷地ながら平地の一人暮らしと同等程度に抑えられている。しかも電気鍋で調理していた食事と熱湯は全て薪ストーブで賄っているので電気代も大幅に減少した。
私は寒冷地への移住にあたり大広間のリビングを半屋外として6畳の和室とミニキッチンを都内のマンション風にすると考えている。それもあって「OneTigris TIGER ROAR」+オガ備長炭で暖をとると最大で21度まで室温が上昇した。
ちなみに薪ストーブを炊く前の室温は0.2度(最低気温はマイナス6度)だった。
◇豆炭コタツの話。
(写真)室温マイナス3度でも「豆炭コタツ」だけで過ごせた話。より。
「OneTigris TIGER ROAR」に加えて豆炭コタツ(1日1個18円x4個=72円)も併用している。これは暖をとるというよりも就寝中に薪ストーブが消えて室温が極端に下がることを避ける予防的な位置付け。豆炭の着火も時間がかかるが、薪ストーブで”ついで着火”が行えるのでガスバーナー代も不要となった。
なお、豆炭は288個ほど入っているらしく(楽天ポイント還元で)一袋2300円で1日4個の使用により72日間は使える計算だ。単純に2ヶ月とすれば1ヶ月あたり1150円となる。
- 第一暖房:薪ストーブ「OneTigris TIGER ROAR」(主力)
- 第二暖房:石油ストーブ、電気ヒーター、豆炭コタツ(予備)
- 第三暖房:電熱ウェア4製品(最終防衛ライン)
(関連記事)
・寒冷地で1ヶ月ほど電熱ウェア(4製品)を使った感想・追加レビュー
◇薪ストーブ+オガ備長炭と石油ストーブの違い
寒冷地に住むと寒さに慣れるようで室温12度くらいから暑く感じるようになった。代謝が良くなったのかもしれない。だが、室温6〜9度から手先が悴むので最低10度は維持したいところ。
当初はマイナス19度にもなるという現地人の話を聞いて震え上がり、「OneTigris TIGER ROAR」より前にカーボン+シーズのハイブリットヒーターとトヨトミ石油ストーブを購入している。
この2製品と薪ストーブ+オガ備長炭による温まり方は次のような違いがあった。
- 着火:すごーく遅い
- 暖かさ:かなり暖かい
- 発熱時間:驚くほど長い
とても抽象的な表現になってしまったが電気ストーブと石油ストーブは消火すると急速に冷める。それに対してオガ備長炭は小さなカケラになっても部屋を温め続ける。そのため薪ストーブが午後10時くらいに熾火となっても0時を過ぎる頃まで緩やかに室温を維持してくれるのだ。
エアコンや石油ストーブなどであれば30分後くらいには冷んやりしていたと思う。なんといっても隣のリビングは最近の日中最高気温は平均2度なのだから。都内に住んでいた時より冷えるスピードは早いだろう。
朝と夕方の2回に分けて着火しているのも、長時間にわたる温度維持ができることが大きい。従来の「薪」であれば頻繁に火の管理をしないと消化し、灰になり冷めるのも早い。オガライトであれば少し時間を稼げるようだが煤やタール、煙が発生するほか、そもそも火力が高いので煙突に「メガネ石」などが必要、これでは薪ストーブの世界に入ってしまう。
あくまで「煙突効果で暖房力を高めた火鉢」として使うのでオガ備長炭の一択となる。
これは万人に推奨できる使い方ではないし、薪ストーブという外観から「キチンとした法令準拠の設置方法」を求める声が届く可能性もある。こちらが「火鉢に煙突をつけた製品がないから代用している」と伝えても薪ストーブなのだからと言われるかもしれない。そんなこともあって、少しでも普及して認識が広まればと思い記事にさせていただく。
私のような寒冷地でなければ1ヶ月3000円前後で調理と暖房が賄えると思う。
それと熾火でも火の揺らぎを見ているのは癒される。それが小さなガラス越しであっても。
→実際に購入した「OneTigris TIGER ROAR」の販売ページへ