4万円台のVR普及モデル「Meta Quest 3S」発表、現行モデルとの違い・新たな価格一覧
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周辺機器 Meta, Meta Quest
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Metaは日本時間2024年9月26日、米国で開催した開発者カンファレンス「Meta Connect 2024」において最新XRデバイス「Meta Quest 3S」を発表した。
日本発売日は10月15日、価格は48,400円〜、すでに予約受付が開始している。
「Meta Quest 3S」とは
Metaで取り扱っているXRデバイスを振り返ると2023年に発売したカラーMixed Reality対応の「Meta Quest 3」、上位モデル「Meta Quest Pro」はアイトラッキングの採用や長時間プレイに耐えるデザイン設計を備えるが、性能面やパススルー画質といった点で「Meta Quest 3」に負けている。
そんな性能差もあって現在の主力はPROではなく「Meta Quest 3」。
しかし、128GBモデルが74,800円と安くはない。その対策として旧モデル「Meta Quest 2」が価格を下げて提供されていた。
Proモデルなのに通常モデルに一部性能で負けたり、手頃な価格が旧モデルでは良いXRデバイス体験ができないといった問題を抱えていた。
Apple製品であれば廉価版となるiPhone SEシリーズを購入してもiOSアプリで得られる体験は大きく変わらない。それがMeta製品では体験自体が変わってしまう。
しかし、そんな状況を「Meta Quest 3S」で打破するようだ。
新しいラインナップは次のようになる。
- Meta Quest 2:販売終了
- Meta Quest 3:ほぼ販売終了、512GBモデルのみ継続
- Meta Quest Pro:販売終了
- Meta Quest 3S:新発売
かなり整理された。
価格は米国ドルで299ドルからとゲーム機並みの値段へと引き下げられた。
そして日本市場における新たな販売価格一覧は次のようになる。
- Meta Quest 3S(128GB):48,400円
- Meta Quest 3S(256GB):64,900円
- Meta Quest 3(128GB):69,300円(在庫限りで販売終了)
- Meta Quest 3(512GB):81,400円(旧価格96,800円)
この価格一覧を見る限り「Meta Quest 3」が上位モデルの位置付けとなり、3Sが普及モデルとして設定されているようだ。それではXRデバイスとして体験に違いはあるのだろうか。
現行モデル「Meta Quest 3」との違い
Meta Quest 3Sではパススルー用のRGBカメラに使用されるLEDを搭載したことで前面に3つの円形が目立つデザインとなった。Mixed Reality用カメラの4M RGB 18PPDという仕様は変わらない。
SoCはQualcomm Snapdragon XR2 Gen 2採用、RAMは8GBを搭載しており、これは現行モデル「Meta Quest 3」と変わらない。
使用するコントローラーも全く同じ製品が使われる。OSも同じ「Meta Horizon OS」をプリインストール。
厚みは「Meta Quest 3」の62.3mmから73.9mmと増しているが、重量は「Meta Quest 3」の515gから514gへとわずかに軽くなっている。厚くなったのに重量が変わらない理由はバッテリーが4324mAh(3は5060mAh)へと少なくなったから。しかし、駆動時間は平均2.5時間(3は平均2.2時間)と増えている。
その中でディスプレイは大きく変わっている。これは箇条書きで見たほうがわかりやすい。()内は「Meta Quest 3」の数値。
- 解像度:1832×1920(2064×2208)
- 視野角:水平96度+垂直90度(水平110度+垂直90度)
- レンズ:フレネルレンズ(パンケーキレンズ)
このディスプレイ仕様は販売終了となる旧機種「Meta Quest 2」の解像度とレンズが採用されている。そのため、視力補正インサートレンズは「Meta Quest 2」と互換性があるようだ。
先ほどの駆動時間が延びている理由は解像度が下がり、明るいフレネルレンズによりバックライトを弱めることができたからとのこと。
以上のスペックから「Meta Quest 2」の処理性能を高めて廉価版として再リリースしたような印象がある。これこそApple製品でいうところの「iPhone SE」の立ち位置に近く、名称に「S」を加えているあたりも消費者の認知度が高いから付与したのかもしれない。
実際の現地レポートを見ると装着感は「Meta Quest 2」に近いという声が聞こえる。解像度と視野角が下げられたもののXRデバイス体験に大きな違いはなく、古い仕様でもOSの進化により性能差を吸収できているというようなコメントもあった。
たしかにWindowsでもmacOSでも最新チップにRAM16GB、SSDに外部GPUをつけても古いOSをインストールすればたちまち使えないシステムになってしまう。未開拓領域に踏み込み続けるXRデバイスにおいても「OSが重要」と言えそうだ。
実際にMeta広報は「Meta Quest 3Sでより多くのユーザーにHorizon OSの価値を広げたい」といったコメントをしている。パソコンも「Windows 98」あたりから一般層に支持されたようにターニングポイントとなるバージョンがあるのかもしれない。
最後にVR体験に違いがあるのかについて見ると「3と変わらない」と言えそうだ。
たとえばMetaでは3Sを含む「Quest 3ファミリー」の製品を購入すると新作タイトル「バッドマン:アーカム・シャドウ」とサブスク「Meta Quest+」(3ヶ月分)が進呈される。このことからも3と3Sの互換性を確認できる。また、2024年10月4日にはVR映画「機動戦士ガンダム:銀灰の幻影」が世界同時公開されるが、3Sでも視聴可能。
XRデバイスは進化すれば遠隔医療や宇宙開発といった遠隔地での擬似体験が身近な存在になる可能性を秘めている。膨大な資金による劇的な進化を期待するなら被災地で瓦礫から救援活動するロボットの操作であったり、ドローン爆撃機といった軍事利用が必要になるのかもしれない。そもそも世界各地で起きている何百年に一度という災害に関してはヨウ化銀の人工降雨が原因という説があり、これも元々は軍の技術。とくに恐ろしい数のヨウ化銀ロケットを打ち上げている中国の洪水や干魃が目立つ。そういった地域の人々を救うであろうXRデバイスの今後を注視していきたい。