廉価版A17 Proの「iPad mini 7」は買いか、第6世代から買い替えを考える
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2024年10月23日、本日は「iPad mini 7」の発売日だ。
ふと周囲を見渡せば大手メディアがA17 Proを搭載したことでM1 iPad Proと同等の処理性能になったと報じたり、Apple Intelligenceの価値を伝えたりと賑わいを見せている。
その一方で同じA17 Proを搭載した「iPhone 15 Pro Max」と比べてベンチマークが落ちていること、そもそもコア数が異なっていることなども伝えられていた。
手持ちのiPad mini 6に不満はない。
それでも第7世代を購入することで何か新しい体験を得られるのだろうか。買い替えによる良し悪しを見ていきたい。
「iPad mini 7」は買いか
はじめに最新モデル「iPad mini 7」ならではの魅力を箇条書きにしていく。
- A17 Proチップ搭載、ベンチマークが大幅UP
- Apple Intelligence対応
- Apple Pencil Pro対応、細かなペン操作が可能に
- ついにRAM8GBへ
- ストレージ構成が豊富
- eSIM限定に、SIMカードスロット非対応へ
これらスペックアップに伴い本体価格も上昇しているが、値段を含めて上記スペックは仕様書を見ればわかるほか、RAMが2GB増えたらマルチタスクが安定するとかそういった当たり前の話は割愛する。
ここからは「iPhone 15 Pro Max」と比べてベンチマークが落ちていることについて触れていきたい。
A17 Proチップは劣化版か
ベンチマークサイトGeekbenchに投稿された「iPad mini 7」のスコアが同じチップを搭載した「iPhone 15 Pro Max」より低いことが話題となった。これについては2つの原因が伝えられている。
1つはiPadOSのバージョン違いによりGeekbenchのスコア計算方法が変わっていること。もう1つはiPad mini 7が搭載するA17 Proチップの仕様が異なること。
iPadOSのバージョン違いについてはiPad mini 7側の検証端末がアップデートを実行すればスコア差は縮まると見られている。それよりも問題なのはA17 Proの格差があることではないだろうか。
具体的にはGPUコアが1つ少ない。
これはApple公式サイトの仕様ページにも6コアではなく「5コア」と記載されているので間違いないのだろう。では、なぜAppleは劣化版A17 Proなどを用意したのか。
そのことについて海外メディアではiPhone向けA17 Proの軽微な欠陥が認められた製品をチップビニング(詳細はwccftech.comの記事へ)によってiPad mini7へ投入した可能性が伝えられている。
半導体の製造はナノメートルという恐ろしいほど高い精度が求められる世界、全てが100%の完成品には至らず、目には見えない僅かなエラーが発生するという。それをチップビニング技術によって再利用する。大雑把に書くとそんなイメージだろう。
iPad mini 7が発表された時にディスプレイから筐体サイズまで変わらないことを不思議に感じた。Appleに革新をもたらした天才がいなくなったとはいえ集金のためにマイナーアップグレードをするような会社になってしまったのかと。
その謎だった仕様も不完全チップの再利用としてリリースされたのであれば納得できる。Appleは同じような手法を過去にiPhone SEシリーズとiPad mini シリーズで実施しているようだ。
以上のことからA17 Proチップは劣化版、いや、「不完全品の再利用」というのが正しいのかもしれない。
Apple Pencil ProとApple Intelligenceへの対応は強みか
Apple Intelligenceについて専用ページ(Appleへ)をみると作文ツールであり、画像生成ツールでもある。Siriが強化され、ChatGPSとシームレスに連携だってとれる。
これらのデータはAppleからもアクセスできずプライバシーは保たれるという。
そして2024年内に米国(英語)から公開予定。
そう、未実装の機能だ。
それもあって実際に使用しない限り何も評価できない。すでに希望する画像を生成するための微調整を苦もなく楽しめたり、Siriを活用しているユーザーであれば恩恵はありそうだ。
次にApple Pencil Pro。
こちらはスクイーズ、ホバー機能、ダブルタップ、バレルロールといった機能が利用できるようになる。現行の第6世代はApple Pencil 2までしか対応していないので買い替えが必要。欧州の利権関係でLightningケーブルという課金要素が使えなくなったため新型ペンに対応さぜる負えないのならProではないminiユーザーにとってはメリットかもしれない。
すでにApple Pencilを仕事で使っているというユーザーなら迷うことなく買いだと思う。
モバイル通信の話。
忘れてはいけないのが、SIMカードスロットの廃止。
第6世代までは存在したNanoSIMカードスロットがなくなり、eSIMのみとなった。
iPhone 13以降は複数のeSIMを設定することが可能で、同時に2つのeSIMを有効にしてデュアルSIMを利用できるようになっている。そのため、困るシーンとしては物理SIMカードをスマートフォンやモバイルルーター(そういった専用業者のSIMカード)で使っている時だろう。
これについては物理SIMカードを使う予定がないのであれば悩まなくても良い項目ではある。
ただ物理SIMカードを差し込んだセルラーモデルを愛用している場合は注意したほうが良い。
「iPad mini 7」は買いか
Appleの返品制度を利用して試すという案もあるが、スペックを見る限り新しい体験をするためには2025年以降のApple Intelligence日本対応とApple Pencil Pro購入といった追加要素が必要になりそうだ。
まずApple Pencilを多用しているのなら迷わず買いではないだろうか。
iPad mini 6ユーザーなら慌てて購入するほどのスペック向上はない。
もし買うとしても発売キャンペーンを実施していない以上、ホリデーシーズンや正月セールなどを待って購入するのが良いと思う。
なお、私は買わないことにした。
少しは買い替えを迷う気持ちもあったが、新しい体験はできそうにない。
iPad mini 7を買うくらいなら型遅れのiPad Proなどサイズ違い、機能違いのiPad整備済み品を追加購入すると思う。そちらのほうが新しい体験ができるし、用途に合わせて使い分けができるから。
ちなみにApple整備済み品ページではiPad Air 5が77800円で販売されていた。これはiPad mini 7の最小構成78,800円と比べて1000円安い。これでサイズ違いのiPad 2台持ち、Apple Pencil 2が流用できるし、屋内外での使い分けもできそうだ。