光造形で「電池スペーサー」を印刷した話。HALOT-MAGE PRO レビュー

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8K光造形3Dプリンター「CREALITY HALOT-MAGE PRO」を使って「電池スペーサー」の初めて印刷に挑んだ。失敗したという報告の多い光造形1回目の印刷だったが、先人の知恵により何とか成功した。

光造形は初回で失敗しやすいという理由と気をつけたポイント。さらに買い揃えたアイテムも含めてレポートしていきたい。

HALOT-MAGE PRO レビュー

硬化洗浄機「UW-02」の開封レビューを行った際に、超音波清掃とUV硬化を行える万能モデルということがわかった。

その洗浄タンクは大きくて水を1Lを注いでもタンクの3分の1も満たせないことは明白だった。せっかくなので実際に水を入れて必要なIPAやアルコールの容量を考えた。

下図は「UW-02」付属の洗浄タンクとカゴ。

上図では洗浄カゴの高さまで水(3L)を入れているように見えるが、実際はタンクが数センチ上からスタートしている。このままだとカゴは完全に入らない。

カゴが入るあたりまで水を入れたところ、キッチンの測りがエラーで計測できなかった。おそらく3.5L前後は必要になりそうだ。

仮にカゴで3.5Lを使い、そこから綺麗な500mlを使うなら少なくとも4Lは必要になる。エタノール1Lが1300円なので単純に約5300円が必要に。仕方ないのでタンクは水洗いレジンの時に活躍してもらうことにした。

というわけで先人の知恵をお借りすることに。大人しく百均でタッパを購入した。ここで造形物を洗浄する。ハケも売っていたが余っていた歯ブラシ(未使用のまま長期保存してしまった)があるので、それを利用することに。

ワッツで購入した「しっかりパック」。電子レンジ対応で1.3Lと頼もしい容量となっている。

次に3Dプリンターのプレート洗浄に使えそうなトレイを購入。金属トレーは880円と高いのでポリプロピレン製を選んだ。

購入時に迷ったポイントは下図の「ベンジン・シンナー・除光液等は使用しないでください。」という但し書き。

一部のレジンはベンジンを含むというが、実際にトレーに置く際はアルコール洗浄後で硬化したレジン。液体の濃いベンジンではないので大丈夫だろう。

これについて調べてみるとアズワン社の製品FAQでエタノール耐性(アズワンヘ)について耐薬品性は「良」ではあるものの「優」ではない。長期保存すると液漏れするとあった。洗浄程度であれば問題ないと判断した。

これでなんとか同サイズ880円の金属トレーを買わずに税込110円で済んだ。

洗浄手順を考えておく。

レジンの洗い方はSK本舗の動画がわかりやすかった。高速レジンなどを使わないテスト印刷などはSK水洗いレジン(レビュー377件はAmazonへ)が良さそうだ。

「大変そう」と身構えていたが動画のおかげで通常レジンも対処できそう。2次硬化を水中で行う際に先ほどの洗浄タンクを使うのも良いかもしれない。

実際に「電池スペーサー」を印刷する。

はじめに印刷してすぐに作業が行えるよう準備をした。

2024年1月29日に開封レビューをしてから本日(2024/02/09)まで時間がたってしまったのには理由がある。それは3Dプリンター到着前からAmaoznで注文していた下図のエタノールがなぜか予定日を過ぎても届かなかったから。しかも注文の発送準備がはじまっているという理由でキャンセルが通らない。ということがあった。

実は上図のほかに刷毛(今回は歯ブラシで代用)、ピンセット(造形物を摘むため)、さらに手で触れないようにする手袋が必要だった。

上図ではデスクの上に設置している。しかし、ワンルームで印刷するために部屋を数時間も開け放つわけにはいかないので風呂場で印刷している。

まずはCreality社から届いた高速レジン。

本来であれば初回からフルスピード、性能マックスで動かしたいところ。しかし、FDM方式ではない光造形方式は初めてだ。複雑な設定で失敗した時に問題を見つけ出せる自信がない。初心者はおとなしくデフォルト設定で初めることにして、失敗したときは都度理由を検証しながら進むことにした。

光造形では水洗いレジンを勧める声が多い。一方、FDM方式のような耐久性を持たせるために通常レジンを使うというユーザーもいる。そして速度を求めて上図のような高速レジンを使うというユーザーも。

Creality純正品ということで失敗する確率も低いというメリットもある。

バスルームへ移動する前にレベリングを実行。持ち運んだ時にプレートがぶれるとも思ったが、4つのネジは強く絞められるので簡単にブレないと判断した。

今回はネットワーク経由ではなくUSBメモリから直接データを読み込むスタイル。これも問題切り分けをシンプルにするため。

「HALOT-MAGE PRO」なので自動ポンプ機能を使いたいところだがトラブルを減らすためにレジンは直接投入した。

ここからは先ほどのUSBメモリで「電子スペーサー」のファイルを選択した次の画面から見ていきたい。

パラメータ選択画面では「ファイルパラメータ」を選択。

「電池スペーサー」のファイルを目視できるのには驚いた。レイヤー数や必要なレジンの量、印刷時間などが表示されている。

印刷パラメータを変更することも可能。高速印刷時には設定を変更する必要がある。今回は限りなくデフォルト印刷で成功率を極限まで高める作戦なので値は変更していない。

「始める」アイコンを選択すると「一時停止」に文字が変化した。

プレートがレジンの中へ落ちる。UVライトが漏れるのかと思っていたが光様子は全くわからなかった。

バスルームの風呂蓋に乗せているが、そのまま蓋にレジンが付着するのを避けるため百均のシートを敷いた。もともとキッチン用に購入したもので対応。

印刷は予定通り3時間40分で完了。3分ほど遅れて見えるが、私が遅れたから。もしかすると少し早く終わっていたかもしれない。

こういったリアルタイムで知りたいときはUSBメモリではなく、ネットワーク経由の印刷が良さそうだ。

印刷完了を伝えるダイアログ画面。印刷終了後、10〜15分ほどはファンがフル回転して本体の熱を様していた。FDM方式に比べると匂いも強く、マスクをしていなかったので頭が少し痛くなった。バスルームの換気(強)を過信していたようだ。

肝心の印刷物。あらかじめ印刷後の状態はイメージしていたのだが、思わず感嘆の声をあげてしまった。

見よう見まねで追加したサポート材も活躍しているように見える。

光造形の初回で失敗するユーザーの多くがFDM方式のノリで「平らに印刷」してしまうことだった。フラットな印刷データのままだとプレートの接着面がゆがんだり、平らな部分が汚くなるなど結構な数の問題が発生する。

今回のデータも配布ファイルを未加工で印刷していたら平らに設置されるが、45度ほど傾かせて、さらにサポート材を追加して印刷した。

光造形は高さに応じて印刷時間が長くなる。45度にしたことで印刷回数・印刷時間は増えたが無事に初回で成功できた。

ここからはレジンの洗浄。高速レジンなのでエタノールで洗っていく。

同梱されていたヘラでプレートから剥がす。光造形はFDM方式と異なりプレートとレジンパッドのフィルムどちらも傷をつけたら印刷時にレジンが定着しないといったトラブルに繋がるらしい。金属同士だからと力任せにヘラで擦ると面倒なことになる。

光造形はプレートから剥がすのに手間がかかるという情報を何度か見かけた。そのため、慎重かつ力を込めてヘラを差し込んだ。しかし、最初の入りだけ力が必要で、それ以降は滑らかにヘラが吸い込まれていく。

高速レジンだったから外しやすかったのか、印刷直後だからなどと考えたが理由は思い当たらないので回数をこなすしかなさそうだ。

エタノールと歯ブラシで造形物を磨いていく。「純度70%以上もあれば十分だよ」という話もあったことから、ここまで少量で良いなら除菌スプレーで良いかもしれない。

先日開封レビューした「Creaity UW-02」で二次硬化を行った。スイッチを入れたら2分となっていたのでそのまま実行したら「電池スペーサー」が弾け飛ぶという事態が発生。

よくみたら初期値では「洗浄」になっていた。マグネット台が高速回転して水流を発生させるという設定だった。すぐに「硬化」へと変更したところUVライトを浴びるように回転がはじまった。

無事に二次硬化を終えた電池スペーサー。

印刷と洗浄と二次硬化で合計4時間ほどかかったが、百均やAmazonで購入するよりは手軽かもしれない。検索したら4本セット400円〜1000円ほど(Amazon検索結果へ)だったので安く済む。

FDM方式とは異なり積層が見えない。サポート材をニッパーではなく金属ヘラで雑に取り除いただけなので表面は荒い。

上図を見てサポート材はニッパーで丁寧にカットしようと思った。

残念なことに単三電池は入らなかった。内側の突起部分をやすりで削れば入るだろう。洗浄後の二次硬化前に電池を入れて変形させるのがよかったのだろうか。

今回はテスト印刷で2個だけだったが10個など必要に応じて印刷できる。しかも面に対してUVライトを当てていくの時間は高さに比例するため増やした方が時間の節約になるようだ。

(画像)自作スペーサーで単3を単1にした話。より

上図のようにダンボールでもガス台で必要な電池スペーサーは作れるが、柔らかいため懐中電灯など動くことのある機器への設置には向かない。

次回はFDM方式でつくって今もなお活用中の「袋止めクリップ」(ポテチなどを閉じるクリップのこと)を光造形でつくったので比較などレポートしていきたい。

CREALITY HALOT-MAGE PROの関係リンクは以下のとおり。

続き→袋止めクリップを印刷!やっぱり便利だった話。HALOT-MAGE PRO レビュー

関連記事
01:8K光造形3Dプリンター「CREALITY HALOT-MAGE PRO」開封レビュー、スペック
02:Crealityのオールインワン洗浄硬化機「UW-02」開封レビュー、スペック

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