ROG ALLYは買いか、SSD換装やメモリ不足にmicroSDカード不具合など
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ASUSのWindows 11を搭載したポータブルゲーム機「ROG ALLY」が快進撃を続けている。
2023年7月20日時点の価格コム売れ筋ランキングでは次のような結果となっていた。
- ノートパソコン:2位
- ゲーミングノートPC:1位
- モバイルノート:1位
絶賛の声もあるが、「Steam Deck」のようなUIを持たないWindows経由でゲームをプレイする手間、GPD WIN4のようにメモリを32GB搭載できないことへの不満も見受けられる。
それでも受け入れられているのは長年ゲーミングノートPCをリリースしてきたASUSというブランドがライトユーザーの心を掴んでいるように見えた。
価格コムではレビュー投稿が438件と異常な数字に達しており、興味深い報告もあった。
この記事ではレビューを参考にしながら、過去に数台のゲーミングPCを提供いただき、いずれも文鎮化した経験から手持ちのMac mini風ワークステーションから「ROG ALLY」への買い換えはありなのか検討したい。
ROG ALLYのレビューをチェック。
はじめに「ROG ALLY」が支持されている声を箇条書きにすると次のような内容だった。
- Windows 11搭載でパソコンとしても使える!
- Steam DeckのSteam OSより対応ゲームが多い!
- ASUS製だから安心!
- ゲーミングPCとしてみれば109,800円は安く感じる!
- ハイスペックなパソコンを携帯できる!
- ファンが2つあるのに静か(デメリットでも言及あり)
- レトロゲームなら7〜8時間は遊べる!
- 有機ELではないのに画面が綺麗、見やすい(輝度500nitの影響?)
- 2023年7月時点でモバイルゲーム機における最高峰の処理性能!
上記の他に2023年7月上旬のレビューには在庫切れで購入できなかったという書き込みがあることから供給不足による「手に入らない状況」もまた購入者を増やした要因かもしれない。
次に不具合やデメリット、不満などを拾い集めると次のような投稿があった。
- 初回起動時のWindows 11やBIOSアップデートが大変。
- Steam OSのようなゲーム特化UIではないからゲーム機として使いにくい。
- Windowsデスクトップ画面に戻ってしまう。
- Windows側のメモリ消費が大きくて動作に影響している。
- 外部GPUが独自規格、外部eGPUが高額、さらに売り切れで買えない。
- 専用GPUポートが大きいのにカバーがない。
- 他社製の65W充電器を使うとターボモードで25Wになる。
- メモリ換装できない&メモリ32GBモデルが用意されていない。
- ストレージ512GBではAAAタイトルを2つ入れたら終わりだった。
- SSD換装できても小型タイプなので2TBが割高で困る。
- SSD換装は保証対象外になるから躊躇する。
- 30日返品期間なのでSSD換装したくなくて手持ちのSDカード入れたら全て壊れた。
- microSDカードで不具合がある。
- 縦持ちタブレットとして持てない(排熱口に指がかかる)
- ファンが2つあるモデルなのに動作していない。(だから静か)
- BIOSアップデートでファンも動作しやすくなったが不安定。
- 重いAAAタイトルをプレイすると2時間もプレイできなかった。
- USB-Cポートが底面にないのが不満。
- USB-Cポートが1つだけなのでUSBハブ必須なのが残念。
過去に中国メーカーのUMPCを何機種かレビューさせてもらっているが、ハイエンドUMPCは排熱の問題でバッテリーやパーツの故障が多い印象がある。
ROG製スマートフォンもショップ経由で提供いただいたが、しばらくすると起動しなくなってレビューできなくなった。
30日返品ユーザーを含めた購入者の冷静な意見として「モバイルゲーム機としては高評価」としながらもゲーム性能自体はGTX1050付近と変わらないといった内容やばGTA5なら1時間プレイできる程度といった「バッテリー駆動時間の短さ」を取り上げる声があった。
次にストレージ不足、メモリ不足がある。
SSDは換装できるもののモバイルノートパソコン向けの安価な規格ではないためパーツ代そのものが高く、保証対象外となるため、装着ミスや動作しない場合のトラブルなど二重・三重のリスクが存在する。
かといって、容量不足を補おうと大容量SDカードを差し込むとASUSも認めた不具合によりSDカードが破損するリスクがある。
そして当然ながら壊れたSDカードは保証対象外。
メモリはオンボードで16GB以外の選択肢はないため、後継モデルを待つかGPD WIN4などを選ぶことになる。
いまやメモリは動画やブラウジング中心のユーザーでもデスクトップOSであれば32GBが望ましい時代、ポータブルゲーミングPCであれば尚のこと16GBは力不足に映る。
また、Windowsパソコンとして使えるのが強みなものの拡張性がUSB-Cx1という状況のためUSBハブが必須、そのUSB-Cポートも天面配置のため見栄えがよろしくないという声も。
さらにUSB充電器もAnkerなど人気製品を用いても期待通りに充電できないという報告もある。
ROG ALLYは買いか
Windows OSが携帯端末で動作して必要に応じて外部出力してデスクトップ作業が行えるというのは1つの理想だ。
その条件を満たすためには映像処理に強くメモリ16GBでも十分と思わせるApple siliconのようなプロセッサをIntelあるいはQualcommが提供する必要がある。
そんなApple Siliconに似たチップが量産されるまでファン問題、発熱問題、メモリ不足、駆動時間の短さはWindows携帯端末につきまとう。
それが叶わない2023年7月、最も理想に近いWindows携帯端末は「ROG ALLY」だと思う。
その一方で有名な言葉がある。
「ゲーミングノートパソコンはやめといたほうがよい。」
その意味はゲーミングデスクトップPCを購入した方が拡張性があり、熱によって不安定になることもなく、故障リスクが低い、パーツも交換しやすいといった経験を超えた先達の優しさにほかならない。
だが「ROG ALLY」購入者からすれば「ゲーミングデスクトップよりコスパが良い」という評価さえある。
ポータブルゲーミングPCの究極に位置する「ROG ALLY」はすでに熱の不具合が報告(記事へ)されている。
さすがにゲーミングノートPCを古くからリリースしているASUS社だけあって、その故障率を把握しているのか公式ストア経由限定では30日返品制度を設けている。
それは同時に価格コムやYouTubeにSNSなどでレビューを増幅させ、あたかも売れているように見せかけるという意味でも大きな成果を出している。
さらに悪い見方をしてしまえば敢えてストレージ・オプションを用意せず、512GBと少なく、かつ頑張れば換装できるようSSDをオンボードにせず保証対象外となるよう仕向けているようにも見えてしまう。
ユーザーが交換できるレベルのSSDをASUSがオプションで用意できないわけがないから。
また、ASUSで好評の「あんしん保証プレミアム」もROG Allyだけ名指しで対象外となっていることにも注意、3年で壊れないなら有償で保証してくれても良さそうな気もするけれどーーー。
返品制度で訴訟リスクを回避しつつレビューを増やし、自己責任のSSD換装で返品させない工夫をするーーーーー商売としてみれば上手だと思う。
今後は初回出荷100台も売れないUMPCをクラウドファンディングで期待を煽り先に1億円を確保するといった手法に加え、30日返品制度によるテスター兼レビュワー増員キャンペーンが増えるのかもしれない。
踊らなソンソン、なのだろうか。
いずれにしても「ROG ALLY」はWindows搭載ゲーミングPCとしてオンリーワンの存在だ。
ASUS直販サイトで30日間返品対象モデルの在庫が復活したら注文したい。
前回→7型「ROG Ally」のSDカードリーダー不具合、発熱原因とASUS発表
関連→6型GPD WIN4(2023)のクラファン開始、早期価格とスペック・ROG Allyとの違い